「自然に囲まれた環境でリフレッシュしたい!」「満天の星空の下で眠りたい」。仕事や家庭、育児などで多忙を極める現代人には、森や水辺など、自然の豊かな場所へのあこがれがあります。都会の喧騒を離れて、自然の中で家族や友人とゆったりとした時間を過ごすのは最高の贅沢。
最近では、そんなアウトドアの過ごし方にもバリエーションが増えてきました。アウトドアの王道・キャンプだけでなく、昨今では若い女性や子育てファミリーを中心に、グランピングの人気が上昇中。
大自然とふれあい、のんびりと時間を過ごすという点では、キャンプもグランピングもあまり変わりはないように思いますが、実際はどんな違いがあるのでしょうか。自分にはどちらが合うのでしょうか。
今回は、自分にぴったりのアウトドア体験を見つけてもらうために、キャンプとグランピングを比較し、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
キャンプ(Camp)の語源は、「兵士が天幕に泊まって宿営する場所、またはその訓練を受ける場所」「人が集まる」。キャンプとは「自然環境のもとで、必要最小限の装備で、宿泊や活動をすること」と定義されています。
キャンプの発祥は19世紀のアメリカで、兵士にあこがれる少年たちに野営生活を体験させたことがはじまり。教会や学校の野外教育として広がったキャンプは、ヨーロッパに渡り、ワンダーフォーゲルやボーイスカウトに発展します。日本でも、20世紀初頭から、ボーイスカウトやガールスカウトなど青少年団体でキャンプが行われるようになりました。
その後、キャンプはアウトドアの趣味として定着し、人々の自然志向の流行に合わせて、オートキャンプやデイキャンプなどが広く行なわれるようになりました。
グランピングとは、「優雅な」「魅力的な」といった意味の”glamorous”と”camping”を合わせた造語です。つまり「優雅で魅力的なキャンプ」。その大本には、19世紀のヨーロッパで、貴族たちが大自然の中に豪華なテントを設営して、狩猟やキャンプを楽しんだという文化があります。
グランピングの醍醐味は「大自然の中で、贅沢な空間とサービスを楽しめる」ということ。
日本では、2010年頃より、リゾート感覚で楽しむ新しいスタイルのアウトドアとしてグランピングが注目されるようになりました。近頃では、全国のさまざまなエリアで、個性豊かなグランピング施設が増えています。
キャンプのメリットといえば、なんといっても低予算でできること。自分のクルマやキャンプ用品を使えば、ガソリン代や食材費、キャンプ場の使用料だけでOK。メンバーで割り勘にすれば、かなりリーズナブルに楽しめます。
また、キャンプの場合、グッズやギアにこだわる楽しみもあります。テントやランタン、テーブルやイスなどを、雑誌やネットなどで情報を集め、吟味をしながら好みのものをひとつずつ増やすことが楽しみという人も少なくありません。
ファミリーの場合は、テントを設営して火を起こし、料理をするといった非日常の体験を子どもと一緒に楽しめることも大きなメリットといえるでしょう。
キャンプ用品に対して機能性を追求したり、人気のブランドで揃えようとすると、実はけっこうお金がかかります。その上、それらが全部搭載できるアウトドア仕様のクルマも必要になります。また、テントやタープの設営はもちろん、他のキャンプ用品を使いこなすには、それなりの知識と経験も必要。ある程度の腕力がなければ、設営・撤収もできません。
さらに、自然そのものがキャンプの最大のハードルになることも。雨や風など天候の変化が起きたとき、適切に対応し、自分自身や家族、仲間の安全を確保する必要があります。お風呂がない、虫がいるなど、快適さに欠けるといったことも、キャンプのハードルをなかなかクリアできない点といえます。
どんなに大自然やアウトドアにあこがれがあっても、なんの知識も装備もなく、いきなりキャンプに出掛けるのは無謀なチャレンジといえるでしょう。
グランピングは、施設側ですべて用意してくれるので、キャンプのような装備は不要。着替えや身の回りのものといった1泊旅行に出かける程度の荷物だけで出かけられます。いわば“手ぶらキャンプ”のようなもの。グランピング施設に到着してチェックインすれば、すぐに周辺の自然散策やアクティビティを楽しめます。
宿泊施設は、コテージやトレーラー、大型テントなど、バリエーション豊富ですが、いずれも趣向を凝らした設備仕様となっており、ホテルのようにラグジュアリーで快適です。清潔なお風呂やトイレも完備しており、中には温泉やプールを備えた施設もあります。シェフの豪華な料理が楽しめたり、その土地ならではの新鮮な食材でBBQができたりと、食事も楽しみのひとつです。
チェックインからチェックアウトまで施設のスタッフがサポートしてくれるので、アウトドアの知識がいらず、不慣れな人でも安心。設営・撤収、食事の支度や片付けなどを一切することなく、滞在時間丸ごと遊びに充てることができます。これがグランピングの最大のメリットかもしれません。
リゾート感覚でアウトドアを満喫することができるグランピングは、ホテル並みのサービスや食事を提供しているところも多く、やはりそれなりにコストがかかります。初期費用は掛かるものの、装備さえそろえてしまえば1回あたりのコストが安くてすむキャンプと比べると、至れり尽くせりで滞在できるグランピングの宿泊費は高いと思う人も多いでしょう。
また、野趣あふれるキャンプと比べると、グランピングはあまりにも清潔で快適な環境が整いすぎていることから、「アウトドア感が薄い」という印象を抱く人もいるかもしれません。
アウトドアでありながら、そこに快適さを求めることも忘れないのがグランピング。屋外を感じる心地よい宿泊施設や旅の楽しみの一つである食事など、ホテルのようなフルサービスが受けられる従来のキャンプにはない快適さと満足度の高さがグランピングの大きな魅力です。
快適な環境でアウトドアレジャーを楽しみたいという人におすすめします。
「キャンプや釣り、登山など、アウトドアで遊びたい!でも何からはじめてよいのかわからない」というアウトドアビギナーには、気軽に体験できるグランピングがおすすめです。自然やキャンプに熟達したスタッフのサポートを受けながら、まずは手ぶらでアウトドアを体験してみましょう。何度かグランピングを重ねるうちに、アウトドアの知識や経験を積み、大自然とのつきあい方がわかってくるはずです。
グランピングの流行をつくってきたのは、実は若い女性たち。グランピングを楽しむ自分たちの画像や動画をSNSに投稿したことから、グランピングの魅力が日本全国に広がったのです。テントの設営・撤収や、食材の準備、調理、片付けなど、面倒なことは全部おまかせで、リゾート感覚で楽しめるのがグランピングの最大の魅力。トイレやお風呂、虫などの心配をせずに自然と親しめます。
「子どもが小さいうちからアウトドア体験をさせたい」。そう考えるパパやママは少なくありません。しかし、小さな子どもを連れてキャンプをするのは、実はハードルが高いもの。天候の変化や虫、動物といったリスクから守られた環境の中で、川遊びやキャンプファイアー、収穫体験、マリンスポーツなど、安心して非日常を体験させることができるのはグランピングならではといえます
自然を満喫したいけど、不便な環境はちょっと…というシニアの方々にも、グランピングはおすすめです。リゾートホテルに泊まる感覚で、グルメを楽しみ、のんびりとした時間を過ごすことができます。子ども夫婦とかわいい孫と一緒にグランピングを楽しむなんて、いい思い出になりそうですね。
グランピングとキャンプは、アウトドアでのステイという点では同じですが、その魅力はそれぞれ異なります。
「自然環境のもとで、必要最小限の装備で宿泊や活動をする」キャンプは、準備からテントの設営、アクティビティ、料理、片付け、撤収まで、すべて自分たちで行う必要があります。一方、「大自然の中で贅沢な空間とサービスを楽しめる」グランピングは、アウトドアとリゾートのいいとこどりが魅力。コテージや大型テント、トレーラーなど様々な宿泊施設から好みの形態を選べたり、食事やアクティビティも充実しているので、手軽に、しかも自分らしいスタイルで自然を満喫することができます。
自分にぴったりのアウトドア体験を見つけてもらうために、グランピングとキャンプの違いやメリット、デメリットについてまとめてみました。
・キャンプのメリットは、装備さえ一通りそろえてしまえば、あとは低予算でできること。キャンプグッズやギアを集めることも、キャンプの面白さに含まれる。
・理想を求めると、キャンプグッズの初期費用はけっこうかかる。また、安全にキャンプをするには、それなりに知識と経験が必要になってくる。
・準備や装備なしで出かけられるグランピングは、アウトドアの開放感とラグジュアリーな空間で過ごせる快適性を同時に得られることがメリットである。
・グランピングは食事や宿泊、アクティビティが用意されており、サポートするスタッフもいるため、キャンプに比べて費用がかかる。
・グランピングは、キャンプ初心者、女子グループ、子どもがいる家族、シニア層などにおすすめである。
グランピングコラム