今回はバケーションレンタル型のグランピング施設の将来性や市場規模についてふれたいと思います。
バケーションレンタルとは、建物を丸ごと1棟貸し出すスタイルの宿泊施設の事を言い、貸別荘やロッジ、ヴィラ、コンドミニアム、高級貸別荘に町家や古民家等と共に、当社施設のヴィラもバケーションレンタルに含まれます。バケーションレンタル専用のOTA「一休バケーションレンタル」には全国927施設が登録されており、件数は年々増加傾向です。
バケーションレンタルは、コロナウィルスの影響を受けにくい宿泊業態で、コロナ感染拡大以降、稼働率が上昇しています。
プライバシー空間が確保でき、他との接触を避けられて感染予防対策が取りやすいことだけでなく、キャンプとは違い天候不順や寒い冬にも対応できること、また若者グループ客の多いテントタイプやトレーラータイプのグランピングとは異なり、ファミリーやシニア層の利用にも適していることなどが人気の理由です。
マリントピアリゾートが運営する人気ヴィラ(バケーションレンタル)「天然温泉&グランピング瑠璃浜(12室)」の2019年・2020年の売上データを参考に掲載しました。※了承を得て掲載しております。
バケーションレンタル人気を裏付けるデータといえるかと思います。
天然温泉&グランピング瑠璃浜の2019年度(2019.4月~2020.3月)売上が約1.9億円(10室)、2020年度(12室)が約3.3億円です。
特筆すべき点は、コロナ以降の2020年4月から9月の6ヶ月と、前年同月を比較すれば約165%の売上伸長率です。
更にヴィラ1室当りの年間売上約2750万円も、日本旅館協会発表の同データ、旅館1243万円、ホテル827万円を大きく上回っています。同業者間での競争が激しく、価格競争に陥るホテル・旅館と比べ施設数が少ないバケーションレンタルは、高価格が維持できており、高い生産性となっているのが分かります。
繰り返しになりますが、バケーションレンタルは旅館やホテルの生産性を大きく上回り、かつコロナの感染拡大の中でも人気を集める、ポスト・コロナ時代の新しい宿泊形態と言えるかと思います。
一方で、アメリカを始めとした世界では、バケーションレンタルが広く市民権を得ています。
世界最大規模のバケーションレンタル予約サイトであるHomeAwayの調査(2017年)によると、アメリカの旅行者の30%以上がバケーションレンタルに宿泊経験があり、かつ4兆円の市場規模、宿泊業全体の17%シェアを占めていると報告しています。プライベート空間で、セルフサービスによる手ごろな料金、家族や友人同士の団らんやリラクゼーションが得られることが人気の理由であるようです。
日本国内のバケーションレンタルの市場規模を調査したデータはありませんが、アメリカの実態には遠く及ばない事は推測できます。しかし今後、仮にアメリカ同様に17%シェアまで成長するとすれば、国内宿泊業(ホテル・旅館)の売上合計4.9兆円(帝国データバンク2017年)から試算すれば約8300億円の潜在市場として見込めます。
下表はバケーションレンタルの潜在市場規模を国内の各エリアのGDP構成比で試算したものです。現時点では、これだけのバケーションレンタルの需要は顕在化していませんが、グランピングや古民家など多様なバケーションレンタルの形態が誕生しつつあり、コロナ感染症による経験も後押しとなって市場は拡大していくでしょう。
■関東
域内総生産(百万円):202,286,706
人口:45,662,781
比率:39.77%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):3,301
■近畿
域内総生産(百万円):79,444,935
人口:20,802,397
比率:15.62%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):1,296
■中部
域内総生産(百万円):78,161,019
人口:18,080,588
比率:15.37%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):1,276
■東北北海道
域内総生産(百万円):59,329,033
人口:16,856,528
比率:11.66%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):968
■九州沖縄
域内総生産(百万円):47,786,927
人口:14,520,934
比率:9.39%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):779
■中国
域内総生産(百万円):28,013,594
人口:7,469,147
比率:5.51%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):457
■四国
域内総生産(百万円):13,623,434
人口:3,905,311
比率:2.68%
バケーションレンタル推計潜在市場規模(億円):222
コロナ禍においては、グランピングやバケーションレンタル以外にも、離れ型の高級旅館が大人気となりました。
今後、レジャー・リゾート系宿泊業界では、施設開発において1棟貸切りスタイルの検討が不可欠となってくるかもしれません。
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